2005年04月25日

2004年冬号その7

バリアフリーの小学校誕生!
NPO法人 沖縄バリアフリー研究会
理事長 井上 将

南風原町立南風原小学校の落成式が先月行なわれました。地上3階の新校舎は全館バリアフリー。
段差無し、車椅子と配膳兼用のエレベーター、各フロアーに障害者用トイレが備えられています。
障害の有無にかかわらず共に暮らすノーマライゼーションの理念が形となり、健常児も障害児も
共に学び共に育つ環境が整えられた、といえるでしょう。
厳しい財政運営を強いられる中、町政責任者、教育委員会の方々が努力を重ねて今の世代が果た
すべき責任を果たし、同時に次の世代へのメッセージを具体的に表現することができたともいえ
ます。
南風原町は「福祉のまちづくり」を町政三本柱の一つと位置付けています。南風原小学校には身
体障害児が在学中または具体的に入学予定があるというわけではありません。
ノーマライゼーションの理念に基づき、将来を見据えてバリアフリー設定をしたということなのです。
一方で、琉大付属中学校の入試に障害児が申し込み、断られたとの報道がありました。
ノーマライゼーションの理念が特に教育関係者に理解されてない状況に障害児の父母は情けない思
いを味わったことでしょう。その後、とりあえず受験申し込み書は受理されたようです。
バリアフリーのハード整備がされていないことが、受験申し込み拒否の理由であったと聞いています。
確かにハード整備には予算も時間も必要で、早急な対応というわけにはいかないでしょう。
しかしソフトで超えられるハードルはソフトで対応し、ハード整備には各種の補助金、助成金を活用
しながら、関係者(学校も父母も)が案を出し合い知恵をしぼっていけば対応は可能となるでしょう。
前向きに障害児の受け入れを推めて欲しいものです。
今回の 琉大付属中学校の一件は、ほかの小・中・高校、大学にも共通する問題だと思います。
今後、教育現場では、障害児の受け入れ推進に対応するマニュアルが必要になると思われます。
また学童に対するバリアフリー教育の実施を考えなければならない時期でもあります。
福祉理念は近年大きく変化しています。その基本的な方向性は、高齢者も障害者も、健常者も、
同じ地域で共に暮らすことです。ハード整備とソフト教育がかみ合えば地域のバリアフリーが進み、
住民の共同体意識を高め、コミュニティーをより住みよく活性化するでしょう。
誰もが住みやすく暮らしやすい社会を、身近に引き寄せたいものです。

2005.01.06 琉球新報 レキオ
「いきいきエッセーのページ」に掲載されました。



同じカテゴリー(コラム)の記事
神々の生きる島
神々の生きる島(2009-05-25 11:53)

桜坂レトロの街造り
桜坂レトロの街造り(2005-09-25 22:15)

海上の道
海上の道(2005-04-25 00:00)


Posted by 沖縄バリアフリー研究会 at 00:00│Comments(0)コラム
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。