2008年03月30日
世界遺産[玉陵・識名園]検証
那覇市教育委員会文化財課 御中 平成20年3月17日
NPO法人 沖縄バリアフリー研究会
文責:井上 将
世界遺産[玉陵・識名園]検証
高齢者・障害者のためのバリアフリー観光推進
バリアフリー改善提案
昨年12月、バリ研会員のバリアフリーチェック演習を兼ねて、那覇市教育委員会
文化財課管理の「玉陵」と「識名園」のバリアフリーチェックを行いました。検証
演習には文化財課の林 辰也氏・普天間典子氏の説明とご案内を頂きました。誠に
有り難う御座いました。検証演習の場で気付いた点を、バリアフリー観光推進の一
助にと、管理責任者である文化財課にお知らせします。改善提案を行うにあたり
「那覇市文化財保護条令」及び「施行規則」を送って頂きましたが、条令を読み解
く能力に欠けているのか、「参考になりました」とは言いづらいところです。
平易な「整備マニュアル本」が欲しいところです。
文化財保護法の詳細を把握してないので、適切な改善提案となっていない部分も
あるかと思いますが、「パブリック・インボルブメント」として参考にして頂けれ
ば幸いです。
観光バリアフリー推進のためにはバリアフリーハード整備と共に、ソフト整備が
欠かせません。玉陵・識名園で働くスタッフに、高齢者・障害者対応接遇セミナ
ーの受講をお勧めします。
[参考]サービス介助士講習会:NPO法人 脳文庫 ℡098-885-3305 喜久里
1.正面アプローチ階段スロープ
階段手前のスペースが無い為、木製仮設スロープ最初の登り口の勾配がきつく、
車椅子を上げることが困難です。介助者がガンジュー者であれば可能ですが、普
通の介助者の力では転倒事故を起こす可能性が大きく危険です。実際に、人の乗
った車椅子を上げようと試してみれば、危険性を理解する事が出来ます。別途に
出入り口を確保出来たら、この危険なスロープは撤去すべきでしょう。
2. 椅子・ベビーカー用の出入口は、前面道路坂上のメンテナンス車両入口を利用すべきでしょう。
監視カメラ・インターホーン・リモコン電動柵扉を整備すれば安全性・機能性が確保できます。
通路・車椅子使用 者用駐車場の整備が出来れば上々です。
3. 入口を坂上に設けることは、直近の首里城を訪れる観光客を、今以上に「玉陵」に
呼び込む効果も期待できます。入場者の増加に繋がる可能性があります
2.前門框段差
前面アプローチから跨ぎ框天端までは段差70センチ近く有ります。
木製仮設スロープを設営、介助者が女性・高齢者である可能性を考えれば、勾配1:12以下と
設定したい場所です。
平台部分を取外し式とすれば、門扉の開閉が可能となります。
3.中門框段差
中庭から跨ぎ框天端までは段差40センチ弱。前門同様に木製仮設スロープを設営、 勾配1:12以下に設定。
ここも、平台部分を取外し式とすれば門扉の開閉が可能。
中門は、有効高さが1.5メートルしかなく、「頭上注意」の注意喚起が必要。
4.前門左右植え込み
資料館展示の昔の写真では、前門左右の植え込みに植栽が見られます。
史実に基づいた植栽を再現し、より本来の景観を再現すべき、と考えます。
5.資料館
1. 展示室の置型展示台は車椅子の視点・高さでは見えにくいものも有ります。
展示改修の機会に、改善したいものです。
2. EV内での車椅子の方向転換が出来ません。入って正面の籠壁に姿見(ステンレス製)をつけると、
破損の心配もなく、後ろ向きでも扉の開閉が確認できます。
3. 階段の手すりが途切れがち、連続性が不足しています。
4. 「玉陵」グッズ(土産品)の開発と充実で収益性の向上を。
[識名園]
バリアフリーハード技術での改善は、文化財保護法の規定で難しい(推察)、という結論になりました。バリアフリー改善の可能性は「福祉用具」の活用にあります。正門から育徳泉までの石畳道通行を、片麻痺の会員を乗せた車椅子で試みましたが、凸凹による振動が激しく、実用性は不可。石畳道走行には状況に合わせた改良が不可欠でしょう。車椅子前輪径の小ささが最大のネックとなるようです。福祉用具による改善案を三案挙げておきます。
1.改良ゴルフカートの利用
〇 車輪径の大きいソフトタイヤ装備の電動ゴルフカートを開発、車椅子使用者を、
入口から御殿前庭まで送迎する。
2.改良介助用電動車椅子の利用
〇 1.と同様に車輪径の大きいソフトタイヤ装備の介助用電動車椅子を開発、
車椅子使用者を、入口から御殿前庭まで送迎する。復路の上り坂は手押しでは
介助者の負担が大きく、安全性に問題が有ります。
3.屋外用階段昇降機を通用路に設置
〇 階段昇降機用のレール設置が「文化財保護法」に触れる可能性が有ります。
可能であれば入口⇔番屋前⇔駕籠屋まで通用路沿いに設置する。
NPO法人 沖縄バリアフリー研究会
文責:井上 将
世界遺産[玉陵・識名園]検証
高齢者・障害者のためのバリアフリー観光推進
バリアフリー改善提案
昨年12月、バリ研会員のバリアフリーチェック演習を兼ねて、那覇市教育委員会
文化財課管理の「玉陵」と「識名園」のバリアフリーチェックを行いました。検証
演習には文化財課の林 辰也氏・普天間典子氏の説明とご案内を頂きました。誠に
有り難う御座いました。検証演習の場で気付いた点を、バリアフリー観光推進の一
助にと、管理責任者である文化財課にお知らせします。改善提案を行うにあたり
「那覇市文化財保護条令」及び「施行規則」を送って頂きましたが、条令を読み解
く能力に欠けているのか、「参考になりました」とは言いづらいところです。
平易な「整備マニュアル本」が欲しいところです。
文化財保護法の詳細を把握してないので、適切な改善提案となっていない部分も
あるかと思いますが、「パブリック・インボルブメント」として参考にして頂けれ
ば幸いです。
観光バリアフリー推進のためにはバリアフリーハード整備と共に、ソフト整備が
欠かせません。玉陵・識名園で働くスタッフに、高齢者・障害者対応接遇セミナ
ーの受講をお勧めします。
[参考]サービス介助士講習会:NPO法人 脳文庫 ℡098-885-3305 喜久里
1.正面アプローチ階段スロープ
階段手前のスペースが無い為、木製仮設スロープ最初の登り口の勾配がきつく、
車椅子を上げることが困難です。介助者がガンジュー者であれば可能ですが、普
通の介助者の力では転倒事故を起こす可能性が大きく危険です。実際に、人の乗
った車椅子を上げようと試してみれば、危険性を理解する事が出来ます。別途に
出入り口を確保出来たら、この危険なスロープは撤去すべきでしょう。
2. 椅子・ベビーカー用の出入口は、前面道路坂上のメンテナンス車両入口を利用すべきでしょう。
監視カメラ・インターホーン・リモコン電動柵扉を整備すれば安全性・機能性が確保できます。
通路・車椅子使用 者用駐車場の整備が出来れば上々です。
3. 入口を坂上に設けることは、直近の首里城を訪れる観光客を、今以上に「玉陵」に
呼び込む効果も期待できます。入場者の増加に繋がる可能性があります
2.前門框段差
前面アプローチから跨ぎ框天端までは段差70センチ近く有ります。
木製仮設スロープを設営、介助者が女性・高齢者である可能性を考えれば、勾配1:12以下と
設定したい場所です。
平台部分を取外し式とすれば、門扉の開閉が可能となります。
3.中門框段差
中庭から跨ぎ框天端までは段差40センチ弱。前門同様に木製仮設スロープを設営、 勾配1:12以下に設定。
ここも、平台部分を取外し式とすれば門扉の開閉が可能。
中門は、有効高さが1.5メートルしかなく、「頭上注意」の注意喚起が必要。
4.前門左右植え込み
資料館展示の昔の写真では、前門左右の植え込みに植栽が見られます。
史実に基づいた植栽を再現し、より本来の景観を再現すべき、と考えます。
5.資料館
1. 展示室の置型展示台は車椅子の視点・高さでは見えにくいものも有ります。
展示改修の機会に、改善したいものです。
2. EV内での車椅子の方向転換が出来ません。入って正面の籠壁に姿見(ステンレス製)をつけると、
破損の心配もなく、後ろ向きでも扉の開閉が確認できます。
3. 階段の手すりが途切れがち、連続性が不足しています。
4. 「玉陵」グッズ(土産品)の開発と充実で収益性の向上を。
[識名園]
バリアフリーハード技術での改善は、文化財保護法の規定で難しい(推察)、という結論になりました。バリアフリー改善の可能性は「福祉用具」の活用にあります。正門から育徳泉までの石畳道通行を、片麻痺の会員を乗せた車椅子で試みましたが、凸凹による振動が激しく、実用性は不可。石畳道走行には状況に合わせた改良が不可欠でしょう。車椅子前輪径の小ささが最大のネックとなるようです。福祉用具による改善案を三案挙げておきます。
1.改良ゴルフカートの利用
〇 車輪径の大きいソフトタイヤ装備の電動ゴルフカートを開発、車椅子使用者を、
入口から御殿前庭まで送迎する。
2.改良介助用電動車椅子の利用
〇 1.と同様に車輪径の大きいソフトタイヤ装備の介助用電動車椅子を開発、
車椅子使用者を、入口から御殿前庭まで送迎する。復路の上り坂は手押しでは
介助者の負担が大きく、安全性に問題が有ります。
3.屋外用階段昇降機を通用路に設置
〇 階段昇降機用のレール設置が「文化財保護法」に触れる可能性が有ります。
可能であれば入口⇔番屋前⇔駕籠屋まで通用路沿いに設置する。
Posted by 沖縄バリアフリー研究会 at 22:50│Comments(0)
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